然別湖の自然と歴史

火山活動により生まれた湖。
原生林に囲まれた湖畔は、太古の自然を今に伝える。

然別湖の周囲は約16km。 複雑な湖岸線に9つの湾を形成し、湖北に弁天島を浮かべています。 湖の東にある天望山は、その姿と湖面に映る影との形から、唇山(くちびるやま)と呼ばれ、然別湖のシンボルになっています。周囲には氷河期から生息していると言われる、生きた化石「ナキウサギ」や、ミサゴ、オジロワシ、クマゲラ、アオサギ等の貴重な野生動物たちが生息しています。

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大雪山国立公園、唯一の湖「然別湖」

大雪山国立公園は北海道のほぼ中央部に位置し、その面積は約23万ヘクタール。神奈川県に等しい広さをもつ、国内最大の面積を誇る第一級の山岳国立公園。この広大な国立公園のなかで、然別湖だけがただひとつの自然湖です。然別湖は、南北3.6km、周囲約16km、湖面の標高は809.9メートルと高位にあり、湖中央の水深は約100メートル。透明度は10〜14メートルで過去の調査では19.5mを記録しています。(環境省/1989年)


堰き止め湖説とカルデラ湖説

然別湖の付近一体で1千万年以上前から火山活動が始まり、勢多山、えぼし山など糠平の山々が誕生。最後に東西ヌプカウシ、白雲山、天望山が出来、駒止湖も爆発した。東西ヌプカウシを生んだ大規模な火山活動は川を堰き止めて、ここに現在の然別湖が誕生。(一説には噴火によってからっぽになったマグマだまりが陥没して出来 たカルデラ湖ともいわれる)最後の火山活動があったのは今から約1万2千年前と言われています。


氷河期から生き続ける「エゾナキウサギ」

1万年以上前の氷河期にシベリア大陸から北海道に渡ってきたと言われる「エゾナキウサギ」。然別湖周辺では溶岩ドームが崩壊したガレ場に生息しています。体重は60〜150g。体長は10〜20cm。夏毛は赤褐色で、冬毛は灰褐色から暗褐色になる。年に2回毛変わりする。耳長は2cm程度。5〜7mmの尾があるが、短いため体毛に隠れてしまうので、ほとんど見えない。足は短く、前足の指は5本、後足の指は4本ある。本種は「ナキウサギ」という名前の通り、甲高い鳴き声でよく鳴く。オスとメスとでは鳴き声が異なる。オスは「キィッ」または「キチィ」という音を発声する。